オブジェクト プリント第二作目も、前回に引き続き、寿亀山 弘経寺の彫刻からのフロッタージュに挑みました。
彫刻本体にインクが付着しないように、木口木版画用の、硬めのインクを使います。紙も木口木版画の摺りに使用する、土佐 井野町で漉かれた雁皮紙を用いています。
今回のフロッタージュは対象物が、レリーフ状の凹凸の激しい立体なので、全体を一度に摺りとることは困難で、様々なパーツを、分割して摺りとる手法をとることにしました。
作品として成立するかどうか、思考を続けながらの作業となりました。
弘経寺の開山堂の中で作業を続けました。目下、解体修復中の弘経寺の 様々な収蔵品が、開山堂の中に安置されています。
開山堂の中には、五体の仏像も安置されています。
弘経寺の境内には、このほかにも、いろいろな興味ある彫刻が、点在しています。
可能な限り、フロッタージュを試みましたが、発表できる形態にもっていけるかどうか、思案の最中です。
アトリエに持ち帰ったパーツは、数日間構成を考え、結局、弘経寺の彫り物とはだいぶ違う作品に仕上げる方針に決めてみました。天空に羽ばたく鳳凰の、ダイナミックな飛翔をテーマといたしました。
アトリエの壁を使って、何度もインスタレーションを繰り返し、大まかなデザインが決定いたしました。しかしながら、どうしても羽のパーツが足りません。仕方が無いので、版画を彫る要領で、レリーフ状のオリジナルの羽を制作し、フロッタージュを試みてみました。
自分で彫った羽を版にして、リフレインを繰り返し鳳凰の、羽の足りない部分を補うことにしました。
様々なパーツをつなぎ合わせやっと、支持体にコラージュできる段階まで作業が進みました。
まだ途中の段階ですが、作業は割合うまく進んでいるようです。
この作品もきたるべき、常総市の『再発見 まちなか展覧会』において、二水会館で展示する予定です。
ところで二水会館で思いだしましたが、旧水海道には、もうひとつ、明治期の趣ある洋風建築が存在していました。現在その建物は、茨城県水戸市の、県立歴史博物館に移築されています。
このお話は、常総市市役所都市整備課の飯田さんから伺いました。私の郷里は水戸市です。過日所要があって帰省した折、県立歴史博物館に立ち寄ってみました。堂々とした『旧水海道小学校』の風格ある建物は、朝日の中で耀いているように見えました。
茨城県立歴史博物館のある場所は、かつて茨城県立農業高等学校があった場所です。近くには、水戸の偕楽園があります。また私の母校、水戸第一中学校もあり、このあたりは、子供の頃の私の遊び場でした。したがって、実家もこの周辺にあるのです。
今年の春は暖かく、偕楽園の梅や、桜山の桜もすでに満開のことでしょう。この時期、常磐線も、偕楽園特設駅に停車いたします。駅を降りると、目の前に常盤神社の階段が目に入ってきます。振り返ると、千波湖、その向こう岸には茨城県近代美術館。水戸市内には、現代美術の水戸芸術館があります。この季節一日かけての散策はお薦めです。そうだ、時間があれば、水戸市から東へ三里、波の華散る大洗の海岸へ行ってみるのも良いかもしれません。