過日私のアトリエのある街、取手市の、ある団体の関係者とお会いいたしました。その時、「箱」をテーマにした、ワークショップのお話がでました。
私はいわゆる、ボックスタイプのオブジェをすぐに連想いたしました。ボックスオブジェ制作の先駆者は、ジョセフ コーネルという美術家ですが、彼の作品は、確かパリのポンピドーセンターに展示してあったものを見たことがあるように記憶しています。
ジョセフ コーネルのボックスオブジェは、箱の中に様々な製作者の思い出の品々が手際よく配置されていて、その箱を覗きこむ鑑賞者に、緊張感のある凝縮した濃密な空間の存在をイメージさせてくれます。箱には、コールが生きていた時代の空気。作者の思い、箱が閉じられたと同時に止まった時間。等が、封じ込められているような印象を私は受けたものでした。
近年、日本の美術家の中にも、コーネルのボックスオブジェに触発されたと思われる作品を制作している作家も多数みうけられます。かく言う私も、かつて、鉄道の腐敗した枕木を使った、「ウッドキャビネット」というオブジェの製作を制作したい他ことがありますが、この作品の制作の起因は、ジョセフ コーネルのボックスオブジェ触発されたものでした。
さて、話をもとに戻し、誰にでも簡単にできる「ボックス オブジェ」の試作をこころみてみました。いづれ、何処かでワークショップとして企画したいと考えています。
「箱」の素材として建築用の断熱材、スタイロフォームを選んでみました。「箱」といえば、四角なものを連想しがちですが、今回は、不定形の箱をいわば容器として考えてみました。
スタイロフォームは、最近私が良く素材として選んでいます。「オブジェクト プリント」というシリーズの作品も、スタイロフォームに接着しています。
1)発泡材を任意の不定形の形に切り取ります。
切り取った発泡材を容器上にくり抜きます。くり抜いた中身も素材として使えます。
不定形の容器の枠が出来上がりました。
枠の一方に厚紙を接着すれば、不思議なフォルムの「箱」ができあがります。
始めは、子供のワークショップのためのサンプル作りでしたが、このあたりまでくると、なぜか制作に熱中してしまい、これは自分の作品としても立派に成立するのではないかと考えるようになり、興奮してきました。
今回は、サンプルということで、仕事場に転がっていた、廃棄物を適当にはめ込んでみました。
様々な形態のボックスの中に各自、色々な物を詰め、それぞれの人々の心の奥に内在しているであろう、思い出や記憶、不安、怒り、愛といった、通常は形として現れないイメージの具現化を想定して作業を進められればと考えています。
これら、不定形の「箱」のオブジェは、複数完成したら、壁面に共同のインスタレーションの作品として展示することも視野にいれています。
いつか何処かで、このワークショップは実現させたいと思っています。
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