学生達は、思い思いの図柄を木口木版にビュランで刻みこんでいます。
初めてビュランを握った学生が殆どですが、作業は、順調に進んでいるようです。
固めのインク、ゴムローラーで、慎重に、丁寧にインクを版木に載せていきます。
木口木版画のインクの盛り方は、少なからず多からずということがポイントとなります。
版木にインクを盛ると、彫り込んだが画像が、鮮明に浮き上がってきます。
ところで、今回の講座では、木口木版画の摺りとしてはきわめてまれな、すり方を試してみました。
木口木版画の版木に、図柄を刻んだあと、接着剤で、もうひとつのイメージを版木に定着させます。
これは、コラグラフの手法です。
摺りもまた一工夫いたしました。通常、木口木版画の摺りは、凸版摺りですが、こんかいは、学生達に、凹凸両面摺りを試してもらいました。
こうすると、木口木版画の部分と、新たに加えた画像とが、同一の紙の上に刷られ、作者の予想を超えた効果が生み出されるのです。
しかしながらこの摺り方は、モノタイプとしての性格が強く、複数性は望めません。
さて、このコラグラフの手法はをかなり以前から私は木口木版画と併用していました。
左の作品は、個人的に刊行している『山想譜』という定期刊行物の最新号の挿入作品ですが、北アルプス 燕岳を画題にしています。
燕岳の上空に広がる雲は、このコラグラフの手法を積極的に取り入れたものです。
従来の白黒をイメージしがちな、木口木版画の世界ですが、様々な版表現を取り入れることによって、一味違った表現が可能になるのではないかと考えていますが。
今回の、創形美術学校の講座では、その点を強調して学生達につたえました。