秋葉原とつくば研究学園都市を結ぶ、つくばエキスプレスが開業し始めて、後数ヶ月が経過いたしました。
つくばエキスプレスは茨城県守谷市を通っています。守谷新駅は、茨城県の下館市と取手市を結ぶ、関東鉄道常総線とのターミナル駅として昨今、活気づいています。そのつくばエキスプレス、守谷駅から関東鉄道常総線に乗り換え、下館方面に向かうと、二つ目に水海道という駅があります。かつては水海道市でしたが、石下町と合併し、現在では常総市という新しい市が生まれました。
その新生、常総市で行政と若き美術家ととのコラボレーションによる展覧会が今、始動しはじめました。私も、知人を介してこのプロジェクトに参加することになりました。その概要が、常総市の広報に掲載されましたので公開いたします。
この展覧会に私を誘ってくださったのは、取手市在住の、鈴木厚さん浅川洋行さん、お二人の若き彫刻家でした。おそらく出品作家の中で、私が最年長のような気がいたします。様々な打ち合わせの中から、若い美術家たちとの交流が生まれ正直、いつしか私の心の中に、熱い思いがこみ上げてまいりました。是が非でもこの展覧会を実りあるものにしたいという思いです。
この展覧会の執行部のご好意で、私はワークショップの企画を依頼されました。そこで考えたのが、下記のようなけいかくでした。
上記のようなプランを立てました。この版画を人間の体重で摺るという手法は、実は三十年ぐらい前、私が創形美術学校の学生だった頃考えた方法です。当時、木口木版画の版画集を卒業制作で作ろうとしていました。その版画集のケースは木製の箱にするつもりでした。バルサ材を素材にえらびました。そのバルサ材に文字を印刷する方法は、タイトルを木版画の手法で彫り、版木の上にバルサ材を乗せ、全体重をかけ押圧するといったものでした。これは思いの外きれいに仕上がり、卒業制作は無事完成したのでした。
その版画集が私のデビュー作となった『沈黙の世界』という版画集です。卒業制作展に出品したところ、ある画商から十部買取たいとの注文があり、小躍りして喜んだものでした。当時、その収入で二ヶ月ぐらい生活できましたから、幸運なことでした。その版画集の当時のオリジナルを所有しているコレクターの方とは、今日でも交流がございます。
余談ですが、創形美術学校時代の私は、版画の摺りは牛乳瓶の底で行っていました。高価な本バレンを買う余裕がなかったからでした。自分の体重で印刷したり、牛乳瓶で版画を摺ったりしていたわたしを見て、恩師故吉田穂高先生は、驚いていらっしゃいました。